長文で失礼します
紀和@水戸支部 : 2009/09/26(Sat) 00:42
No.5
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万感の思いで見ました。見に行けて本当に良かった。かれこれ20年選手で、イベントを見たり参加したりしてきましたが、ここにきてこんな凄い舞台を見られるとは。 公演から1週間経とうと言うのに、まだまだ興奮さめやらぬ気持ちで感想を書かせて頂きます。長文なので全体の感想はまた別に…
小鬼 ああ男の子はこんなにでっかくなっちゃうのねえ…と思うのは置いておいて。役に向かう真摯な姿勢が亮輔とダブって、とても好ましかったです。渾身の地蔵和讃、会場全体の空気をガッキと抱えて力いっぱい立ち上がったのがちゃんと見えました。年齢的には、突っ張ったり暴れたりムダにエネルギー発散して自分の有り様を手探りする時期だと思うのに、向かう方向をすっきりと気負いなく見定めた姿は本当に眩しい。きっといい役者になるね、と素直に思える舞台でした。そろそろ「むっち」と呼んじゃ失礼かな(笑)でも会ったらつい「むっち」ゴメン。
朔月 さすがでした。ホントに当て書きじゃなかったんですか?って程見事な朔月でした。いくら上手い役者さんだからってコレは…と唸ってしまう長セリフの山を、流れる水の如くこなしちゃうし、身のこなしもますます綺麗だし、難しい役どころをこなす、名実ともに舞台のムードメーカーですね。目を惹きつけて止まない役者さんだなあと、最後の最後まで感心して見てしまいました。
岩姫 えりちゃーん!!と気安く呼んじゃイケナイ気がする。美しい!カッコいい!犯しがたい気品さえ感じる、なのに温かい。稲荷秘文の鬼気迫る詠唱呪文が圧巻でした。すごく苦労の多い人生を歩まざるを得なかったのでは、それでも貴女は人間を厭っていないんですね…と思いながら見ていました。台詞の一粒一粒に凛とした意志がしっかり感じられて、謎の美女とはこう言う人を言うんだねって見本みたいな岩姫でした。あいの残留思念を拾っていた時は気配が全く別人で凄かったです。もっと彼女の活躍を見たいです。お会いしたらすごく痩せちゃったみたいで心配になりました。焼肉食べて元気付けて下さい。
黒竜 おお、まんまだ。ホントに居るんだなこう言う人が。どんなお母ちゃんから生まれたんだろう世の中広いわー。と、変なところで感心してしまいましたゴメンナサイ。2回も代替わりしている役なんだから結構な覚悟が必要と思うのに、余分な力みや背伸びもなく等身大の黒竜を見せて頂きました。そうだ、ディオは若かったんだ。忘れてたゴメンナサイ。今後がまた楽しみです。次はディオの痛みを見せて下さい。
狢狸 好き(笑)。キャラクター発表の段階から超期待でした。すごーく垢ぬけた狢狸で、実に安定した滑らかな演技を見せて頂きました。が、私的にはもっともっさりとしてて欲しく…(笑)。ありふれたシャツ姿が、個性的なルックスの出演者ばかりの中で浮かず沈まずの絶妙な立ち位置をキープしてるなあと感心しました。個人的には一番親近感を感じる人です。お前さんたった19でどうしてこんな稼業に身を寄せたね?これだけのIT技術を身につけて、幽霊はフツーにいますって世界に馴染む現役大学生なんて、ここに来るまでに何を見ちゃったのかね?と興味は尽きません。私が鬼太郎座に来たのも、19だったです。
般若 45にしちゃ若い!キャラ表を見たときは、非っ常〜に胡散臭い強面オヤジを想像していたので、なんだかとても真面目で堅物そうな般若で(笑)これはこれで大変好感が持てました。こんな人が坊主なら、なぞらえ屋以外でもなんだかすごくたくさんの人を助けちゃいそうな気がするので、この人が普通のお坊さんにならなくて良かったと思います。まるで呼吸をするようにスルスルっと台詞が体から出てきて、素でその場に立っているような超さりげなさに思わず目釘付けになりました。読経の似合いそうないいお声ですね。
真沙美 おお普通の女子高生だ。貴重な存在だ(笑)今回はほぼたった一人の普通人では?彼女が詠唱呪文唱えるところなんて想像できないなーってのが普通人の証ですね。亮輔が気になってるんだろうけど、恋には届かない幼さのお陰で嫌味なく、ポケッっとした感じがちょうど良かったです。口をとんがらせてしゃべる様子が可愛いですね。断られても付きまとう、一歩間違えば嫌われかねない役どころなのに好感持てました。
摩耶児 伊衛門よりずっとマトモでは?と思いました。だって彼は一度だけでもちゃんと愛したんですもの。あくどさより、好きでもない女性から次々と思いを寄せられてしまう苦労の方が気になってしまいました。望まないのにモテるって実はすごくしんどいのかもしれないと思います。(だからって、好意を利用するのは間違いですね)女性たちは彼を欲しがるけど、彼を真剣に愛していたわけじゃなさそうだし。貢がせて暮らすって実はすごくつまんなそうだし不安定で体に悪そう。もっと早くあいみたいな人に会えればよかったのに。…もし彼がアブラぎった感じのマッスル男だったらこうは思わなかったなと言うのはエコひいきですか。
あい ゴメンナサイ赤子に添い寝する着物姿があまりにも色っぽくて…。私が読んだ四谷怪談では、幼子まで祟り殺すお岩さんがいたり、子を産まないお岩さんがいたり、生まれつき醜女のお岩さんがいたり。あいは、そんなお岩になぞらえるにはいい人過ぎじゃないかと思うくらい、出来たお人でした。摩耶児も息子も命がけで愛した人。誰も恨まず憎まず、殺されてなお他者を助けることを望んだ人。子を持つ前から無自覚に「母親力」を発揮する人はいます。あいはそう言う人だったんですね。
あき 今回の舞台で一番お近づきになりたくないのは彼女でした。もし職場で隣の席が彼女だったらハッキリ言って嫌だあー毎日わき目もふらずに仕事するわ私。と言うくらいのリアルさでした。かわいそうな人であっても、同情できる人ではない。姉の美しさに劣等感を抱いていると人物紹介にありましたが、彼女が本当に妬んでいたのは本気で人を愛せることそのものだったのでは。そう言う人を生々しく表現するのってすごく大変だと思います。キター!窓いっぱいの手形!仏壇に引き込まれたー!たぶん仏壇ない部屋だろうけど、奈落はどこにでも口をあけているんですね。
直弼 うわあすっごいチンピラそのまんま!街中ですれ違ったら絶対目をそらしたい。このメイクと衣装で外に出たらダメ絶対絡まれますってくらい、見事な役作りでした。どーしよーもない馬鹿息子これが我が子なら母ちゃんが絶対息の根止めちゃるって思わずにはいられない立派なだめんず。内縁の夫っても、あきに堂々と浮気されてるし、女見る目も男見る目もない情けないキミ。次に生まれてくる時はもうちょっとモノを考えて生きて下さいと思うことしきりです。熱演お見事でした!
麻衣 可哀そうな娘さん。本当に哀れな娘さん。あきの部屋についていったあたりでやっと、この子生者じゃないと気がついて、痛ましい思いで見ていました。娘を持つ身には、他人事ではありません。高校生なんてまだヒナ鳥で、親に助けを求めてもおかしくない年頃なのに、苦しすぎて辛すぎて、家に帰れなくなっちゃったんだな。そう言うことがきちんと解る、細やかで表現力にあふれた演技だったと思います。彼女が成仏する後ろ姿、築地本願寺にこれほど相応しいシーンはないなと思いました。
カヲル キャバクラ嬢というのは実際に会ったことないんですが、彼女は、ああそれじゃダメだよーと言う雰囲気満点でとても分かりやすかったです。短い台詞の中で、せっかくの機会だから人生見直してみなよなんて説教垂れたくなる人物であることがよく表現されていたと思います。
アンサンブル 文句なしにカッコいい!全員がまるで見えない糸で繋がっているかのように滑らかに切れ目なく、なのに一人一人の個体の意思がきっちり感じられるアクションを見せて頂きました。今回は顔も体格も覆われているのに何という表現力。亡霊ってもんは生身の人間じゃない、でも枯れすすきでもないんですよね。絶対怖いですよこんなのが向かってきたら!小道具の出し入れまで魅せて頂きました。こう言うところが見られるのもライブの醍醐味の一つですね。麻衣を襲った変質者の役者さん、獲物を見つけた笑顔に背筋寒くなりました。今回の舞台で一番怖かったのはこれです。
鬼王 実はホールに着いた時、玄関前で外から戻る鬼王と狢狸の二人連れを目撃。その時点で「〜〜〜〜〜!!」と心で叫んでしまいました。「因果は巡る糸車…」の口上でまた「〜〜〜!!」。声の演技しか知りませんでしたが、体の演技も凄いんですね。千葉さんが舞台に現れると空気が動く、光の色が変わる。その上、ピンクのステテコ3枚があまりに強烈でございました。「なぞらえ屋」稼業の元締めってどんな人なら務まるのか、ちょっと想像できなかったので、なるほどと納得しました。と言うことは、なぞらえ屋の支部とか出張所とか事務担当とかあって、それぞれに責任者がいて?なんて組織図に思いを巡らせることができるような鬼王さまでした。「なぞらえ、巡ります!」もう一度聞きたいです。
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