因果は巡る糸車――――――。

人の世に強く残る多くの『物語』は、 伝承、口伝、そしてあらゆるメディアとなって この世に深い轍（わだち）を残す。
神代の古から面々と存在するその轍（わだち）は 目には見えないが、強い呪力を孕んで、 人間たちの足元に広がっているもの。
そして、たいていの人間は気づかずに、 その轍（わだち）に嵌って、まんまと同じ道を辿ってしまう。
それが「なぞらえ」。轍（てつ）の呪縛（しばり）。

縦横無尽に走るその轍を読み、 なぞらえの力で事件を解決する影の集団、それが『なぞらえ屋』。
表の世界に知られることなく、仕事をこなす彼らが集う場所のひとつが、 ここ歌舞伎町、骨董屋『坂東』。

霙の降る一月の寒い日。
鬼王・坂東厳斎の昔馴染み『貞鴉』が死んだ。
凄腕のなぞらえ屋だった貞の死を追ううち、 やがてそれが恐ろしい事件のひと触れであったことに なぞらえ屋たちは気づいていく

壊れた時計、走る兎、狂った茶会――――――

挑む轍は、世界中の『子供』の心を捉えて離さない『不思議の国のアリス』 そして、７つの魔物たち。

奈落の底で響く歌声に絡め取られたなぞらえ屋たちに果たして勝機はあるか？


――――――あのこは、たあれ？